Face

お店の顔はどんな顔 ?
  柏二番街商店会
 理事長 石戸新一郎さん
  “ハブ空港”的商店街を目指したい



2008年4月1日、柏市は中核市として新たな一歩を踏み出した。中核市への移行に伴い、これまで千葉県が行っていた福祉・ 保健衛生・環境・都市計画などの分野の事務権限が柏市に移譲されたことで、 市民に身近な行政サービスや地域の特性を活かしたまちづくりの実現も可能なる。

しかし、中核市になる以前から、柏二番街では積極的に「まちづくり」に取り組み、地域の活性化に貢献してきた。そこで今回は、 二番街を中心とした「柏ならではのまちづくり」に尽力してこられた柏二番街商店会の理事長 石戸新一郎さんにお話を伺った。



― 常に挑戦し続ける二番街 ―

1973(昭和48)年、商店街に千葉県初の全蓋式アーケードを設置する際、商店街の新しい呼び名を考えたところ、当時の商店会会長の 「一番になったら次に目指すものがない。“二番”として、いつも一番になるように挑戦し続ける街でいよう」 というアイデアから「二番街」が生まれた。その後、アーケードは1995(平成7)年に改築され、それに合わせて各店舗もリニューアルして 若者が多く訪れる商店街になったという。

石戸さんは、「バブル崩壊後の平成6年頃、石戸ビル2階のテナントを募集したが応募がこなかったことから、 柏駅周辺の商業が停滞してきたのを実感した。それと同時に危機感を覚え、自分の店はもとより商店街のこと、 ひいては柏全体のことを考えるようになった。」と当時を振り返る。

その頃に『地域イメージとまちづくり』(石見利勝・田中美子著/技報堂出版/1992.12)という1冊の本と出会い、 地域活性化には「地域イメージ」が重要と学んだそうである。地域のイメージを向上させることで柏市民は地元に愛着を持ち、 市外からの訪問者も増え、街は活気づく。

そこで、柏市や駅周辺の商業関係者と共に地域のイメージアップを図り、ここ十数年の間に 「ファッションショー」「ストリートライブ」「アートラインプロジェクト」など様々なイベントを企画・開催して大きな反響を呼んだ。 「大掛かりなイベントを次々と開催なさる中で、色々とご苦労もあったのではないですか?」という私の問いかけに対し、 「イメージしていたことが具体的な形になっていく過程は、大変というより面白かった。」と笑顔で答える石戸さん。

「イメージ」を「形」として実現していく喜びが石戸さんにとっての原動力になっているようだ。また、今後は、アートをキーワードとした 街づくりに力を入れ、柏を「ミュージアム都市」として活性化させる構想があることも教えていただいた。

二番街では前述のイベントに参加する他、駅前のエキサイトビジョンに二番街商店会の紹介VTRを流したり、 二番街ガイドブック『パサージュ』を発行するなど、商店街から積極的に情報発信を行っている。 現在、二番街は1日あたり約4万人が行き交う千葉県随一の商店街となったが、それは“二番街”の名前の由来が示すとおり 「常に挑戦し続ける」という商店街の姿勢が受け継がれているからなのだろう。
        

― 「街づくり協定」の制定について ―

2008年3月、柏二番街商店会では、風俗店の出店禁止・建物の外観や屋外広告物の規制などを盛り込んだ「街づくり協定」を 制定する方針を決めた。石戸さんは「街づくり協定」について、次のように語ってくださった。

「街は常に移り変わっていくもの。しかし二番街はいつまでも今のままでいて欲しいし、その上で人々が行きたいと思える魅力ある街づくりを 目指したい。そのためには商店街の“持続力”が不可欠。風俗店の排除や乱雑な看板を外すなど、きちんとしたルール作りが必要になる。」

昨年、地権者などを一軒ずつ回り協定への同意を得たものの、現在は自主規制に頼っているので、いずれは都市計画法に基づく地区計画に 組み込んでもらうなど法的根拠を加え、より確固たるルールにする予定があるそうだ。 時代の流れとともに街は目まぐるしく変化していく。商店街が廃れて空き店舗に風俗店が進出すると風紀が乱れて治安が悪化し、 ますます人々の足が街から遠のくという悪循環に陥ることにもなりかねない。安心して買い物を楽しむことができる商店街を維持するためにも、 こうしたルールを設定することは大切である。


― “ハブ空港”的商店街を目指したい ―

「いわゆる“ハブ空港”のような役割を果たす商店街を目指したい。」それが二番街の今後の目標と石戸さんは言葉を続けた。 ハブ空港とは、「各地からの航空路が集中し、乗客や貨物を目的地に中継する機能をもった、その地域の拠点となる空港」(『大辞泉』)のこと。 例えば、柏高島屋ステーションモールから二番街に行く、または二番街を通って裏カシに行くなど、 人々の購買行動の拠点に二番街を位置づけたいという考えだ。

「人の多い街=強い街と言える。二番街には幅広い世代の買い物客が訪れるが、買い物以外でも、何だか引き寄せられる街にしていきたい。 そのためには商店街をイメージ的に性格づけて人が集まる街にすることが必要。『街づくり協定』で商店街の内側を固めつつ、 二番街ならではのメッセージを外側へ発信し続けていきたい。4月に再刊した二番街ガイドブック『パサージュ』も、 今まで二番街が取り組んできたことの集大成となっているし、二番街商店会HPにも、街の顔がわかるような情報を載せていこうと思っている。」

確かに、「二番街のイメージは?」と尋ねられても、「活気がある商店街/賑わっている街」であること以外に具体的なイメージはなかなか 思いつかない。例えば、「上野アメ横」は「食品をはじめとした様々な品物が安価で揃っている街」というイメージが定着しているし、 竹下通りを含む「原宿商店街」に「ファッション文化の発信基地」というイメージがあることは周知の通りだが、柏二番街にも、 このような明確なイメージを持たせることがこれからの課題になるのだろう。

「二番街についていえば、何か提案するにしても皆さんの賛同と協力を得ることが出来るのでとても実行しやすい。 そうした環境によって私自身も育ててもらっているという感じがする。」と石戸さんはおっしゃっていたが、インタビューさせていただく中で、 「二番街」および「柏」に誇りを持ちつつ、より良い街づくりを熱意と行動力で実現しつづける強力なリーダーシップ性が伝わってきた。 守るべきところを守りながら常に進化し続ける二番街。今後「新中央図書館」が建設されることも決まっており ()、 人々を集める「引力のある街」として成長していく様子を目の当たりに出来るのが楽しみである。

平成19年8月、「新中央図書館」の建設候補地は、柏駅東口D街区第一地区(=旧長崎屋の向かい側)に決定した。