渾身の“即興ダンス”
-アートラインかしわ2010  岩下徹と踊った2日間-
二番街・京北ホールでの「ワークショップ」と「街はカーニバル」inハウディモール
(記)星まどか 2010.10
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<“即興ダンス”とは?>
  10月16日土曜日の午後、二番街・京北ホールにて<山海塾>ダンサー岩下徹氏によるダンスワークショップが行なわれた。これは、<アートラインかしわ2010>のイベントでもあり、翌日行なわれる「街はカーニバル」(市民参加型カーニバル)にむけてのプレ企画でもあった。
  午後2時。京北ホールに集まったのは男女合わせて20名。年齢は20代から60代と幅広い。参加者全員が“ダンス経験者”というわけではなく、初めてダンスに挑戦する人、身体表現に興味のある人、他のかたちのダンスを学んでいる人など様々である。今日集まったメンバー全員に共通していることはただ1つ。“表現することに興味があり、それが好きでたまらない”ことであった。
  「床に自由に寝てみてください。自分が楽だと思えるかたちで…。」岩下氏は静かに指示を出す。仰向けに寝る人、うつぶせに寝る人、横に傾く人…、各自がとらえる自由のスタイルはいろいろである。「今ここに関係の無い人が入ってきて、皆さんの様子を見たら、きっとびっくりするでしょうね。」と、時折冗談を言いながら、岩下氏の指示は続く。
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  「今度はゆっくり、ゆっくり、床から起き上がってください。直立の姿勢になるまでです…、イメージとしては植物ですね…種が土から芽を出して、茎が伸びてゆく感じ…、自分の身体を1つ1つ感じながら、自分のリズムで…。呼吸は止めません、体に重力を感じるまで、御自分の身体と向き合いながら行なってください…。」制限時間は10分。本当に植物になってしまったかのような感覚をつかみながら、ゆっくり、ゆっくり立ち上がる。5分を過ぎても、床から30センチ位しか起き上がっていない人もいる。身体のリズムには個人差がかなりあるようだ。“自分の身体を隅々まで感じ取ること、身体そのものから発する声に耳を傾けること”が岩下氏の考える「自己とむきあう」ことなのであった。
  休憩をはさんで、次は2人1組の「ペア」になる指示が出た。自己を感じることが出来たら、次は“他者”を感じる訓練だ。お互いの身体のゆれや重さを丁寧に確認する作業から始まった。そして、相手の身体や動き・表情を感じ取りながらのパフォーマンスを行う。もはやここまで来ると、曲に合わせて踊るというダンスのイメージは払拭され、五感すべてを使って感じ取ること、身体がすべてにおいて先に動くこと、思考よりも感覚優先のダンス。つまりこれが、岩下氏が考える「即興ダンス」なのである。

<緊迫したリハーサル>
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  午後5時。明日行なわれる「街はカーニバル」に出演するダンサー8名が決まった。フロアすべてが舞台と想定して、感じたままを自由に表現させるワークから始まる。ソロ→デュオ→トリオと、稽古は続く。ダンサーの顔に緊張の色が浮かび始めた。今ここでは、自分だけが頼りなのだ。身体の感覚を研ぎ澄まし、集中力を維持し続けなければついていけない。
  と、そこへ今までじっと様子を見ていた岩下氏が突然飛び込んだ。走る・回る・倒れる・起きる・・・、あらゆる動きで“即興ダンス”を行なう岩下氏。ダンサー全員の感性がぶつかり合う。“明日のパフォーマンスは、一体どうなるのだろう?”見ていた者は皆、そう感じた。

<衝撃と感動!-ハウディモールが別世界に>
  17日日曜日、くもり。この日のために、歩行者天国のハウディモールでは、特設のカフェテラスが準備された。カーニバル開演に先駆けて、音楽を担当する「ちんどんブラス金魚」とカーニバルに出演するダンサー2人が、宣伝のためにWデッキまで練り歩く。チンドンの昔懐かしいメロディ「美しき天然」に乗って、“感じたまま”を表現する2人。その独特のパフォーマンスに、行き交う人は足を止め、じっと見入る。
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  午後1時30分。とうとう始まった。岩下氏を含むダンサー9名を先頭に、「ちんどんブラス金魚」とアフリカンパーカッション担当の「駒澤れお」が後ろに続く。ドラム&サックス&パーカッションのダイナミックな音楽が、会場の空気を揺さぶる。感性を研ぎ澄ましたダンサーたちの“即興ダンス”に観客みな釘付けになった。それはまさに、ハウディモールが異空間になった瞬間だった。
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  時間ギリギリまで、ダンサーたちは心と身体を開放し続けながら踊った。それ以上に岩下氏は、彼独自の世界観とenergyを見事に昇華させていた。
  街が、人が、ダンサー自身が衝撃と感銘を受けた“即興ダンス”。柏駅前通りが見事なPerformance Stageとなった1日であった。


★アートラインかしわ2010 http:///www.kashiwa-art.com
★岩下徹オフィシャルサイト http://www.iwashitatoru.com
★ちんどんブラス金魚 http://www.chinbra-kingyo.com