「アートラインかしわ2009」― アートが拓く街の可能性(前編)
(記)柏木じゅん子 2009.12

1ヶ月にわたり、絵画・音楽・写真・陶芸・彫刻・パフォーマンス・シンポジウムなど多彩なイベントが繰り広げられた「アートラインかしわ2009」も、ついに閉幕を迎えた。そこで、今回の記事では、「アートラインかしわ2009」について総括したい。

イベントフライヤー

まず、毎週土日には、駅前通りや商店街など街の真ん中で、体感型アートイベントが開催された。「ライブペインティング 30vs30」(11月1日)、「吉本直子出前制作プロジェクト"FURUGI"crossing the border」(ワークショップ:11月1〜3日/パフォーマンス:7日)、「dopperu on street」(11月8日)、「OUT OF PLACE 〜何処にもない場所〜」(11月22日)など、観客たちもアーティスト・ミュージシャンと共に、"一期一会のアート"を楽しんだ。

ライブペインティング30vs30Out of place

また、期間中は、他にも魅力溢れるアートにたくさん出会えた。北柏駅の近くに所在する「ギャラリー生光」にて開催された「鋳金・路川洵/詩(ポエム)・阿部生光 二人展」(11月14〜20日)も、そのひとつである。鋳金とは、溶かした金属を鋳型に流し込み成形する金属工芸の技法のことで、1階に展示された路川さんの作品は、静けさの中にも風格が漂う。

ギャラリー生光路川洵さんの作品(鋳金)

ギャラリーの2階には、阿部生光さんの詩(ポエム)が展示されていた。阿部さんのご家族は、二番街アーケードのフラッグなどを制作している阿部スクリーン印刷株式会社を経営なさっている。温もりを感じさせる字体で書かれた阿部さんの詩は、一言一言が胸にしみる。

阿部生光さんの詩 1

「書いたものを、皆さんに読んでいただけるだけで幸せ」と微笑む阿部さん。"田舎の縁側"のように、人々が気軽に集えるギャラリーを目指しているそうだ。「そういう場所があれば、孤独感が薄れるでしょう。人は1人では生きられないものね」と阿部さんは言葉を続けた。

阿部生光さんの詩 2

路川さんと阿部さんの作品をじっと眺めていると、観ている自分の方が、逆に心の奥まで見透かされているような気持ちになる。作品を鑑賞しているというより、自己と対峙しているかのようなひとときだった。

阿部生光さんの詩 3

そして、阿部さんも期間内にぜひ訪れたいとおっしゃった展覧会「ほれちゃって手賀沼」(11月21日〜23日)においても素敵な作品に出会った。手賀沼を愛する人たちによる絵画・写真・俳句などが並び、柏市在住の画家の長縄えい子先生の作品や、版画家の大野隆司先生の作品も展示されていた。

長縄先生の作品大野先生の作品

会場となった柏コミュニティーカレッジは、多くの人で賑わっていた。作品を前に和気藹々と語り合う方々の中には、長縄先生のお姿もあった。

手賀沼作品展 1手賀沼作品展 2

一方、かしわインフォメーションセンターでは、スサイタカコさんによる「空宙遊園地」が展示された(11月7日〜29日)。不思議なイキモノたちが、センター内にぷかぷかと浮かび、愛嬌のある表情で来訪者を迎えていた。ワークショップでは、子どもたちがスサイさんと共に洗濯ばさみ・フェルト・革などでオモチャづくりに取り組んだとのこと。きっと、楽しい思い出になったに違いない。

空宙遊園地 1 空宙遊園地 2

一口にアートと言っても、様々なジャンル・様々な表現法がある。"言葉"を超えたところに存在するアートを、"言葉"によって捉える難しさを感じたときもあった。しかし、1ヶ月の間、様々なアートに触れてみて、どのアートにも、人と人を結びつける力が根底にあることを実感した。

(後編に続く)